日本能率協会「アートが切り拓く経営の未来」 in 京都

2025/11/25
by ADF Admin
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115名の経営層が参加しアート思考の可能性を深める

日本能率協会は2025年11月14日(金)ホテルグランヴィア京都でシンポジウム「アートが切り拓く経営の未来」を開催しました。本シンポジウムは、2025年3月に東京で開催した第1弾に続く取り組みで、今回は115名を超える経営層が参加し、前回を上回る大規模な開催となりました。adf-art-designe-pioneered-by-art-2.jpg?1764068542224

アート思考の重要性が高まる背景

変化のスピードが極めて速い現代のビジネス環境では、「サイエンス(分析)」「クラフト(技術)」「アート(直感)」が経営の基盤となります。とくにアート思考は、直感・感性・独創性を引き出すことで創造性を高め、新たな価値創出の源泉となるものです。冒頭の来賓挨拶では、西脇隆俊京都府知事、松井孝治京都市長より、京都で本シンポジウムを開催する意義についてご挨拶をいただきました。京都では10〜11月にかけて86以上のアートイベントが集中的に開催され、国内外のギャラリーが集まるなど、日本有数のアート発信地であることが紹介されました。

「経営におけるアート実装の必要性」「アートを導入した都市空間の新潮流」

パネルには京都市立芸術大学の小山田徹学長をはじめ、愛知県立芸術大学・金沢美術工芸大学・武蔵野美術大学の学長・理事長、堀場製作所の堀場厚会長、観光企画設計社の鈴木裕社長が登壇しました。モデレーターは、ソフトバンク 特別顧問 / Kアート 代表の宮内謙が務めました。

主な議論のポイント

  • アートが生む「問い」と「余白」がイノベーションを生む(小山田氏)
  • 芸術は「未来の当たり前」を提示する営みであり、違和感や分からなさこそが創造の種であるとの指摘がありました。
  • リーダーが感性を磨くアート思考の重要性(白河氏):データや技術だけではなく、直感を磨くことで組織の創造性が高まることが語られました。
  • アートは“場の呼吸を整えるインフラ”(山村氏):企業・都市空間にアートを導入する意義について、組織文化や人の動きの変化を例に説明がありました。
  • 固定化した思考を超える教育の必要性(長澤氏):美術大学が「造形言語」を教える唯一の場所であり、未来のリーダー育成には右脳的感性の強化が不可欠と述べました。
  • 経営そのものもアートである(堀場氏):堀場製作所の社是「仕事はおもしろおかしく」を引用し、遊び心が創造性の源であると強調しました。
  • 都市が持つ文化価値とアートの共鳴(鈴木氏):地域の物語性を取り入れた空間設計がウェルビーイングや体験価値向上につながる事例が紹介されました。

事例紹介

以下の2つの事例が Kアート株式会社の土屋純氏、渡辺明日香氏から紹介されました。

東急ステイ日本橋「Artful Moments」による効果

地域の物語性や素材を取り入れたアート設計が、多様なゲストの体験価値向上につながった点が共有されました。

JMA 研修室「Meets Creativity」による効果

アート導入による場の環境変化が、来訪者の集中度や満足度向上に寄与したことが示されました。

特別講演

  • 演題:「アートで経営を変えるー感性と戦略をつなぐ挑戦」
  • 講師:朝山絵美(Ph.D. of Creative Thinking for Social Innovation)

朝山氏は、変化の激しい現代においては、五感を通じた観察や身体性を伴うプロセスによって直感をアップデートする必要性を説きました。アート鑑賞における視点の違いや身体を使ったプロトタイピングが新たな発想につながる具体例が紹介され、参加者から高い関心が寄せられました。また講演内で、JMAと共同で企画する「アートによる創造的リーダーシッププログラム」(2026年夏開講予定)が発表されました。本プログラムでは、アート鑑賞・造形ワーク・フィールドワーク・感性のトレーニングなどを通じて、経営層が“自らの感覚で判断する力”を磨く内容が予定されています。

「アートが切り拓く経営の未来」開催概要

日時2025年11月14日(金)14:00~16:55
会場ホテルグランヴィア京都 3階「源氏の間」
URLhttps://jma-news.com/archives/...