The world’s top-selling living artist, Banksy returns to the limelight in the first half of 2021

2021/09/14
by ADF Admin
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アート市場はストリートアートをメジャーでグローバルな分野と認識

バンクシーは21世紀初頭の最も偉大なアーティストとして次世代は認識するでしょうか?2021年上半期の1億2300万ドルという数字がそれを示しています。バンクシーはArtpriceの総合ランキング (全期間を対象) でピカソ、バスキア、ウォーホル、モネといった巨人たちに次ぐ5位に入りました。これをどう捉えるかに関わらず、美術史の1ページはまさに刻まれつつあり、もはや「単なる流行」と見ることはできないでしょう。バンクシーは25年にわたり、程遠い普遍的な問題への取り組みをストリートに持ち出し、私たちの日常生活に招じ入れてきましたが、話題性の高い作品は今日、かつてない程に市場の成長を後押ししています。adf-art-design-banksy1

(Bansky: turnover and lots sold at auction - copyright Artprice.com)

Artmarket.comとArtprice部門の社長兼創業者であるティエリー・エアマンはこう話します。「バンクシーの作品に対する需要は5年前から急激に増加しています。美術館がオリジナル作品を適正な価格で入手することを望むには、すでに遅すぎます。しかしシステムに背を向けるこの匿名のストリートアーティストが、アート市場で最も成功した現役アーティストになるとは誰が予想できたでしょうか?数年前テート・モダンはこのアーティストからの寄付を拒否したようですが、それ以来バンクシーは真の象徴となり、私たちの世界が遭遇するそれぞれの危機 (金融、健康など) によって、さらに強くなっています。」

流れを変えた存在

彼によってステンシルの技術が21世紀に持ち込まれました。ブリストルの街角やガザの廃墟、パリのバタクランの裏口やニューヨークの地下鉄で発見された新しい作品は、写真に撮られ、宣伝され、気に入られてシェアされ、さらに流用されてきました。もちろん街の清掃業者によって取り除かれたり、場合によっては盗まれたりしなければ、ですが。抜群の描画力を持ち、場所の選択や作品の拡散方法が非常に巧みなバンクシーは、壮大で根源的な性質を持つ作品を世に送り出しました。新しい作品には、年齢や言語、美術史の知識に関係なく、すべての人に向けたメッセージが込められています。バンクシーの作品は四半世紀にわたり気候変動、戦争、不平等、現在と未来の社会の悲しみや課題を描いた巨大なフレスコ画を形成してきました。《bemusement park》《Dismaland》 (2015年)、ベツレヘムの《Walled Off Hotel》 (2017年)、《Rescue》(2020年)など、一部を挙げるだけでも、美術史上類を見ない大胆なプロジェクトを通じていっそう政治的な武器として際立ちつつあります。

マドックスギャラリーのグループCEO、ジョン・ロシアンは「バンクシーは何世紀にもわたって破壊行為とみなされてきた芸術形態を実践する匿名の現役アーティストとして広く世界的に高い評価を得ており、彼一人で現代アートの様相は我々が今日知るものに変化しました。これに加えて、時事問題への関与と、ウィットに富んだ仕方で世論を不朽の名作へと具現化したことが、現代の時代精神を捉えただけでなく、現代美術界の門が新しい時代のクリエイターにむけて開かれることになったのです。」と語っています。

ハッピーな買い手

バンクシーの作品はハプニング (ニューヨーク、ベニス、shop.grossdomesticproduct.com) を除いて一般市場ではほとんど販売されませんが、ギャラリー、インターネット、公開オークションなどのセカンダリー市場で豊富に流通しています。2021年の前期には1,200点以上の作品がオークションに出品され、そのうち4分の3に買い手がつきました (売れ残りは23%のみ)。サザビーズ、クリスティーズ、フォーラムオークションでは、数百万ドルのオリジナル作品や、非常に人気の高いアーティストのプルーフから、限定版やサイン入り、サインなしの版画や彫刻まで、あらゆる価格帯の作品が出品され、彼のためのセッションが行われています。この激しい取引レベルは、アーティスト自身が設定した認証システム、「Pest Control Office」によって管理されています。

 「バンクシーの物語に隠された魔法はセカンダリー市場での成功を達成したことです。バンクシーが最後にエディションをリリースしたのは2010年のことで、それからほとんどのコレクターにとってバンクシーを一般市場で購入することは不可能でした。しかし「Pest Control」を手に入れたことで、バンクシーはシンプルな経済ゲームにフォロワーを巻き込んだのです。彼は作品の供給を大幅に制限することで、流通している作品の価値を高め、初期のフォロワーが購入した作品で驚くほどの利益を得る機会を与えてくれました。バンクシー投資家はこの10年間でかなりの利益を達成していると考えられます。当社の顧客は2020年だけで平均42.6%の利益を実現しています。」 とジョン・ロシアンは指摘しています。adf-art-design-banksy2.jpg?1631588957681

(Bansky: turnover by year of creation - copyright Artprice.com)

バンクシーの市場

バンクシーは「大義名分」のためであれば市場のゲームに参加することもできます。今年の初めにはコロナ危機の中、サウサンプトン病院の財政を立て直すために売却した《Game Changer》(2020年) は過去最高の2,190万ドルを記録し、2021年上半期の彼のオークション総落札額の17%を占めました。2021年上半期、バンクシーの市場は主に英国 (オークション売上高の64%)、米国 (15%)、香港 (13%) に分かれていました。このトライアングル市場は彼の作品の価値の上昇に大いに貢献しています。彼の小さなキャンバス《Laugh Now But One Day We'll Be In Charge》(2000年) が3つのオークションで落札されたことからもこのことがよくわかるでしょう。

- 2007年10月15日、ロンドンのサザビーズで342,000ドルで落札
- 2017年6月29日、ボナムズロンドンで380,000ドルで落札
- 2021年6月18日、サザビーズ香港で2,283,000ドルで落札

バンクシーの作品は現在の私たちの目をまっすぐに見つめ、未来に警鐘を鳴らすアートを求める極めて差し迫った需要に実際に応えています。逆説的に言えば、彼の作品は、彼を称賛する社会そのものを批判しています。 《Laugh now》に観る非常にシニカルでありながら、《Flower thrower》にある優しさ、《Che Guevara on Skates》などにみるユーモア、そして《Girl with balloon》の希望などの要素を圧倒的に多く含み、常に驚きが意図されています。47歳 (想定) のバンクシーは、ストリートアート界やアート市場の専門家からも慕われる国際的なスーパースターで、インスタグラムのフォロワー数は1100万人いますが、多くのインフルエンサーとは違い、バンクシーは自分の個人的なイメージよりも、地球の未来や人類に疑問を投げかける自分のアートを大切にするのです。