アート写真部門の世界売上高

パリのグラン・パレ・エフェメールで開催されたパリ・フォト・フェアを取り巻く興奮は、フェアそのものだけでなく、11月初旬にフランスの首都で開催される写真に特化した数多くの展示会やオークションによってもたらされました。実際、この毎年恒例のイベントは、フランスがこのニッチ市場で中心的存在であることの大きな理由になっています。2022年、フランスのオークションハウスは、アート写真部門の世界オークション売上高の11%を生み出しており、これは世界レベルでの他のアート媒体の寄与率（5.9%）のほぼ2倍に相当しました。

写真媒体の人気は主に、そのアクセスしやすさによるものです。オークションでの写真作品の平均価格は6000ドルであるのに対し、絵画は4万1000ドル、彫刻は2万3000ドルとなりました。このアクセシビリティーの一因は、写真の再現可能な性質にあります。写真は通常、サイズが異なる複数のコピーで存在し、定期的に取引したり、同等の写真を非常に権威のあるコレクションに収めたりすることができます。NFTテクノロジーは、流通している作品の量についてコレクターに情報を提供し、安心させるための新しい道を開くことになりました。

伝統的な写真界のビッグネームに立ち返る

2022年に世界中で2万4100ロットが販売され（フランスの5000を含む）、写真の販売は世界中のアートオークション取引総数の3.4%を占め、総額1億4700万ドルを生み出しました。しかし、2014年の売上高は記録的な2億2000万ドルに達しており、この媒体には11番目に良い年に過ぎませんでした。マン・レイの「Le Violon d'Ingres」（1924年）が1240万ドル、エドワード・スタイケンの「The Flatiron」（1904年）が1180万ドルという2つの歴史的な結果にもかかわらず、ハイエンド写真市場はもはや10年前ほど活況ではありません。100万ドルの基準を超える結果は、2014年の13件と比較して、2022年には6件のみでした。2020年以降、健康危機による大きな打撃にもかかわらず、写真市場は現代写真界のスーパースターではなく、20世紀の著名人によって牽引されて成長を取り戻しました。こうしたコレクターの好みの変化は、アンドレアス・グルスキーにとって特に顕著であり、特に、7つの非常に大きなコピー（304 × 207 cm）がプリントされた「Pyongyang IV」（2007年）の結果に現れています。

リチャード・アヴェドン、新たな「トップセラー」

パリ・フォト2023では、ガゴシアン・ギャラリーはウィリアム・エグルストン、サリー・マン、リチャード・アヴェドンの作品を展示します。後者はオークション上で世界で最も成功した写真家で、年初以来、アヴェドンの写真55枚がオークションで落札され、390万ドルを売り上げました。リチャード・アヴェドンは、2023年にすでに20万ドルを超える結果を7つ獲得しており、オークション売上高の90%が落札している米国の特にダイナミックな市場を活用しています。

2023年1月から11月までの世界のオークション売上トップ10の写真家

1. リチャード・アヴェドン：387万4000ドル
2. シンディ・シャーマン：378万2000ドル
3. バーバラ・クルーガー：302万4000ドル
4. リチャード・プリンス：298万4000ドル
5. 杉本博司：292万9000ドル
6. アンセル・イーストン・アダムス：234万2000ドル
7. ロバート・フランク：231万1000ドル
8. ロバート・メイプルソープ：195万3000ドル
9. ウィリアム・エグルストン：193万7000ドル
10. ヴォルフガング・ティルマンス：190万3000 ドル

写真市場に含まれるNFT

新しいデジタル部門により、パリ・フォト2023はデジタルアートとNFT に最良の場を与えます。ドイツのギャラリー・ナーゲル・ドラクスラーは、暗号アートのパイオニア、ケヴィン・アボッシュの個展を開催します。英国のプラットフォーム節は、ギャラリー・グエン・ウェドと提携して、Web3エコシステムの3人の有名アーティストである0xDEAFBEEF、ソフィア・クレスポ、マット・デスローリエのセレクションを提供しています。Artpriceが作品の価値を推定するのに十分な結果をすでに得ている4人のアーティストです。今年のNFTの売上を押し上げているのはジェネレーティブアートです。ディミトリ・チャーニアク、タイラー・ホッブス、ラルバラボ、スノーフロの目覚ましい成果は、まだ歴史が浅く不安定な市場を強化しました。しかし、Artpriceは、最新の現代および超現代アート市場レポートの中で、NFTの売上が40歳未満のアーティストのオークション収益の11%を占めており、この媒体が、若くファッショナブルなシグネチャーには、絵画に次いで2番目に大きい媒体になっていると指摘しています。このテクノロジーと写真を組み合わせようとするのに十分な理由です。

Artprice

Artmarketと同社のArtprice部門は1997年、ティエリー・エールマンによって創立され、1987年に創設されたセルベールグループの管理下に置かれています。Artmarketは、アート市場におけるグローバルプレーヤーです。Artpriceをはじめとするさまざまな部門を通じて、歴史的および現在のアート市場の情報を蓄積、管理、活用する世界的リーダーとして、3000万件以上のインデックスとオークション結果、82万4000人以上のアーティストを網羅するデータバンクを所有しています。Artprice by Artmarketは、アート市場に関する情報の世界的リーダーであり、世界標準の市場を通じて、世界をリードするファインアートNFTプラットフォームになることを目指しています。