Report on the 2020 and 2021 Contemporary Art Markets by Artprice

2021/10/14
by ADF Admin
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NFTの本質的な活性化で取引量117%増を達成

「比較的手頃な価格の作品を多数提供する販売戦略と複数の世代にわたるコレクターからの需要の高まりにより、現代アートのセグメントは、他のあらゆるセグメントよりもはるかに良い仕方で健康危機の悪影響に対して抵抗できました。」

事実、2020年と2021年の期間においては、作品の販売数と全世界のオークション落札額のどちらの観点からしても、現代セグメントはオークション史において最高の年を記録しており、現代アートセグメントがアート市場との関係において新たな領域に進出したことを示しています。NFTのセンセーショナルな登場と、非常に年若いアーティストたちの作品が信じ難い価格で購入されていることで活性化されたこの動向は、いずれもアート市場全体の状況を大きく変革したように思われます。NFTは、アーティストを奴隷状態から解放し、世界的なアート市場全体を再構成するでしょう。

また2020年と2021年の時期は東洋のアート市場が西洋のアート市場に向けて開かれたことを極めて顕著に特徴づけ、そのトレンドにより香港は、自らをニューヨークに次ぐ世界第二位のハブとしてコンテンポラリーアートの購入と販売の地位を築きました。過去21年間の中で、現代アートの市場は+2,700%の取引量の増加と、昨年は+117%の急激な増加を記録しました。今や成熟した世界市場となり、五大陸で活発な取引が行われています。

12か月の間に102,000点の現代作品がオークションで販売され、総額は27億ドルを生み出し、2019年と2020年と比較すると117%の増加 (2018年と2019年との比較では34%の縮小)です。34,600人のアーティストたちの作品が網羅されており、うち1,300人はオークションでのデビューを果たし、5,000人がオークションで新記録を樹立しました。59の異なる国々において、770のオークションハウスで作品が販売されました。売上高の点からすると、クリスティーズ(32%)、サザビーズ(26%)、フィリップス(10%)が世界の売上の3分の2を占めています。 地理的な観点からすると、ニューヨークと香港が現代アートの世界の総売上高の60%を占めています。

絵画は、価値(73%)とロットの販売(42%)のいずれにおいてもトップのカテゴリーでした。絵画は82%を占めていますが、それに対してドローイングは6%、彫刻は6%でした。 

中国は、現代アートのハブとして世界を牽引するようになりましたが、このセグメントの世界的な売上高の40%を占めています。第2位は米国(32%)、第3位は英国(16%)です。香港はロンドンを追い抜き、+277%の売上高増という並外れたた記録を樹立しました。北京も現代セグメントの売上高が3億500万ドル(161%増となり、かなりの売上高を記録しました。第5位のパリの売上高は5,500万ドルですが、世界の主要な競合相手に比べると、非常に遅れをとっています。

競売でNFTが販売されたのは史上初で、ビープルの《Everydays》だけで現代アートセグメントの総売上高の3% (6,900万ドル)を占めています。 バンクシーは、ピカソ、バスキア、ウォーホル、モネに次いで、アート市場全体におけるベストセラーアーティストの上位5名に入りました。

FRIEZE対FIAC
パリでは、国際的なアートコミュニティの関心がFIACに向けられるようになりますが、その2週間前にはロンドンでFriezeアートフェアが開催され、博物館、ギャラリー、オークションハウスは、アートマーケットの強さを再び実証するに違いありません。 

英国は、ロンドンの美術品オークション売上高のわずか半分しか生み出していないパリを恐れることはありませんが、とりわけハイエンドの現代アート市場において極めて魅力的な存在となった香港の躍進を気にしない訳にはいきません。2021年度の上半期だけで、英国の12億ドルに対して、香港は9億6,200万ドルを達成しました。しかしロンドンは2,330万ドルの新記録を樹立したバンクシー市場での驚異的な躍進に貢献し続けており、現代アートにおいて欠かすことのできない存在です。年間オークション売上高の観点からすると、もともとはブリストル出身のこの匿名ストリートアーティストは、今や第2市場において現存する世界で最も有名なアーティストになっています。