国立美術館 国立アートリサーチセンター(NCAR)は作品活用促進の活動の一環として、コレクションの持続可能な活用、ならびに全国の美術館の作品の保存修復・継承を適切に行っていくことを目指し、アメリカ人保存修復専門家のクリス・スタヴロウディスを講演者として招き、作品修復についての講演会を、東京国立近代美術館で2023年10月28日(土)に開催します。
近現代のアーティストは主に工業的に生産された画材を用いて作品を制作していることが多く、それらの画材は伝統的な画材と比べて今後の劣化が未知で修復方法も確立されていないことから、20世紀以降の近現代絵画の保存対策は大きな課題となっています。スタヴロウディスは、作品のクリーニングに使用する溶媒の配合をコンピューターでプログラム化したモジュラー・クリーニング・プログラム(Modular Cleaning Program)の開発者でもあり、2018年にはロサンゼルス現代美術館所蔵のジャクソン・ポロック《ナンバー1》(1949年)のクリーニングにこのプログラムを適用し、作品の修復を行いました。講演会では、クリーニングにおけるポロック作品へのプログラムの適用から作品全体の修復にいたるまでを解説。工業用塗料をキャンバスに垂らしこんだアクション・ペインティングの作品に対する保存修復の理論的アプローチは、近現代絵画の保存修復に関する今後の取り組みに大きな示唆を与えるものです。
カリフォルニア州ウェストハリウッド在住の保存修復専門家。アリゾナ大学で美術史と化学の学士号を、デラウェア大学で保存修復の修士号を取得した。ゲティ保存研究所の研究プロジェクトの成果として、2002年にモジュラー・クリーニング・プログラムを開発し、世界各地でこのプログラムのワークショップを行っている。
国立アートリサーチセンターは、2023年3月の設立以来、国立美術館のコレクションを活用した「コレクション・ダイアローグ」、「コレクション・プラス」の開催館募集や、「ソーシャルストーリー」の発行などの事業に取り組んできました。今後も、「アートをつなげる、深める、拡げる」をキーワードに、国内外の美術館、研究機関をはじめ社会のさまざまな人々をつなぐ拠点として、専門領域の調査研究(リサーチ)に留まらず、情報収集と国内外への発信、コレクションの活用促進、人的ネットワークの構築、ラーニングの拡充、アーティストの支援などに取り組み、日本の美術館活動全体の充実を目指します。
日時 | 2023年10月28日(土)14:00 ~ 15:45 |
会場 | 東京国立近代美術館 講堂 |
定員 | 120名 |
申込 | 申込フォーム |
参加 | 無料 |
URL | https://bit.ly/3PqUGG2 |