渋谷区神宮前二丁目に位置している路上ギャラリー「Jinny Street Gallery」 で、東京を拠点に活動するアーティスト 伊佐治雄悟による新しい作品展「Life of Things」が2025年1月11日(土)から2月8日(土)まで開催されます。本展で伊佐治は日常的に目にする物品を作品の素材としながら、普段認識しないような世界に目を向けるように誘います。また、伊佐治自身のアートワークをあしらった、ギャラリーの公式飲料Jinny Lemon Sourの特別限定ラベルも展示に合わせて発売されます。
展示概要の中で伊佐治は数年前にあった阿佐ヶ谷駅前でのエピソードを振り返ります。「10年ほど前、阿佐ヶ谷駅ホームに生米が一合ほど置かれる迷惑行為があり、友人とその話で盛り上がった。友人は"稲穂は稲妻の象徴なので、雨乞いでは?"と解説してくれた。」この記憶がきっかけとなり、伊佐治は身の回りの物と人間との関係について再考するようになりました。「人は既存の社会に適合してこそ、上手く生きていけるように見えます。その点『商品』にとても近い存在だと思います。人と"商品"の違いを支えるのは、人間が持つ計算不可能な神秘的な領域です。」と説明しています。
展覧会では伊佐治が日常的に存在する物体の本質に迫り、その形を超えたモノの可能性を観客に提示します。彼は馴染みのある素材を解体し、熱を使ってそれらを曲げたり変形させたりすることで、物体の中に隠れた神秘と未知の可能性を引き出し、それらをより深い意味を持つ存在として再定義しています。彼の作品は物質の世界が持つ美しさと複雑さを再認識させ、人々が普段見過ごしているものにもっと関心を持つよう促しています。「明確なイメージを持たずに作品制作をするので、素材や道具に導かれている感じがします。"自分"という枠組みから解放される瞬間でもあります。その体験を求めて作品制作に打ち込んでいるとも言えます。自分の存在を相対化するためにも、モノを中心に考えるのも面白いと思います。」この素材選びへの探求とそれに共感するような感覚は、作家の制作過程に反映され、素材自体が伊佐治にインスピレーションを与える重要な役割を果たしています。
伊佐治の作品は単に物を変えるだけではなく、新しい見方も促しています。彼が使うプラスチックボトルやカッターナイフの刃などのごくありふれた日常的なモノは、普段はあまり気に留められないか、捨てられてしまう素材です。しかし、伊佐治の手にかかると、それらは新しい意味を持つものに変わり、日常生活に隠された可能性やつながりを象徴します。伊佐治は「作品を作るとき、私は素材そのものをただ見るのではなく、それが何になり得るのか、その本当の姿を理解しようとします。そうすることで、自分に焦点を当てるのではなく、物そのものに集中できるのです。」と述べ、日常の中に隠れている真実を探ることが、彼の作品の大きなテーマとなっています。
オープニングナイトのアクティビティとして、作家の伊佐治と共にギャラリーを巡る「アーティスト・ウォーク」を予定。伊佐治自身がデザインを手掛けた限定ラベルの「Jinny Lemon Sour」は300缶のみ限定販売されます。オープニングイベントでアートな時間を堪能することができます。
1985年岐阜県生まれ。2008年多摩美術大学美術学部彫刻学科卒業。2019年ポーラ美術振興財団在外研修員としてスウェーデンにて研修。主な展覧会に、2024年「純粋在宅ストリートアート」KANA KAWANISHI GALLERY(東京)、2022年「あなたのかわりに」 Art Center Ongoing, Tokyo、2022年「In search of others亅 Kotaro Nukaga, Tokyo、2022年「Spinning East Asia Series II: A Net (Dis)entangled亅Centre for Heritage, Arts and Textile, Hong Kong、2020年「Second Hand World」 Art Center Ongoing (東京)、2020年「rehabilitation」 Gallery Bageriet (スウェーデン・ヨーテボリ)などがある。
期間 | 2025年年1月11日(土)から2月8日(土)まで |
場所 | 神宮前2丁目商和会に位置する路上ギャラリー「Jinny Street Gallery」 |
URL | https://tinyurl.com/yc4uhwpc |