Kofu Hijikata作品 「Sanctuary」(2023年制作)パネル装 650x500㎜
- 説明
Kofu Hijikata作品 「Sanctuary」(2023年制作)パネル装 650x500㎜
約20年間旅の途中の瞬間瞬間を逃さず鮮明に記録しておきたい欲求から記してきた何十冊のノートがもとになり、その小さな枠を超えて空間的にも身体的にもより解放的に展開したのが、この赤いコンテのシリーズである。赤い文字は人の内面にある様々な感情を表し、いわゆる書道の作法に頼らず縦横無尽に書き綴っている。
今作ではsanctuary (サンクチュアリ/聖域・保護区)をテーマに、「人間と動物の関係性」を問いたい。私が毎晩読み聞かせする絵本の中では、ぞう、きりん、くま、わに、かばなどの動物が二足歩行をしながら言葉を話し服を着て、いかにも愛すべき仲間たちとして登場する。しかしながら、現実世界において動物たちは人間活動の影響で壊滅的に減少し続けている。私自身が旅先のアフリカで目の当たりにした生き生きとした動物たちも、私たち人間も同じ地球を住処とする命であるはずなのに。実際には存在することのない彼らにとってのサンクチュアリをテーマに書いた作品群の最新作。
写真:Kofu Hijikata作品
Sanctuary(2023年)
650x500mm(パネル装)
作家プロフィール
1976年愛媛県松山市生まれ、現在は横浜在住。2021年より芸術運動「ART SHODO」に参加。全国で開催されるグループ展・企画展に出品(東京・神奈川・京都・大阪・福岡)。 2021年「ART SHODO FESTA2021」山本尚志賞受賞 2022年4月 企画展「書の現在」(岐阜・田口美術)
何種類かの赤いパステルコンテで書かれている作品は、書かれる文字が全て同じ赤ではない。その理由は、その言葉の性質と関係しており、作者の微妙な心情、意識の差異、そこから生じた出来事などを表している。書かれる言葉はその都度異なり、アクションにも変化が加わる。文字群が示す「図形」は毎回異なり、同時に常に流動的かつ微妙な意識の変化が表れている。
(企画展【SHODO NEW WAVE】キュレーター:書家・現代アーティスト山本尚志)